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中期計画
第4次中期計画(令和3~5年度)
「公共建築の長寿命化及び保全・施設管理の情報化の促進」
 一般財団法人建築保全センター(以下「本センター」という。)は、「国、地方公共団体等の建築物等の保全に関する総合的な調査研究及び技術開発を行うことにより、地球環境の保護と官公庁施設等のストックの有効活用等の社会的要請に対応した建築物等の適正な保全の方法を確立し、その成果を広く国民に普及し、もって国民生活環境の向上並びに国家経済の発展に寄与すること」を設立目的としている。
 国と地方公共団体の所有する公共建築の延べ面積は各々約5千万㎡、約6億6千万㎡で合計が約7億1千万㎡である 注1)。地方公共団体の公共建築の約半数は、完成から30年を超え 注2)、大規模修繕等の必要性が増大している。さらに、厳しい財政状況の下、人口減少・少子高齢化への対応、国土強靭化、地球温暖化対策、感染症拡大防止等により、公共建築は長寿命化、資産のスリム化、防災・減災対策、環境負荷低減対策、執務環境改善等、機能・性能の維持・向上と一層の有効活用が求められている。
 平成25年11月には関係省庁連絡会議において「インフラ長寿命化基本計画」が策定された。公共建築を含む公共施設の総合的かつ計画的な管理を推進するため、平成26年4月に総務省から地方公共団体に策定が要請された「公共施設等総合管理計画」は、令和2年3月末現在、ほぼ全ての団体で策定済みとなっている 注3)
 一方、メンテナンスサイクルの核となる「個別施設計画」の策定は未だ十分な状況にはなく 注4)、個別施設計画をできるだけ早期に策定して適切に保全を実施することにより、より一層の長寿命化を図る必要がある。
 公共建築の長寿命化への要求に伴い、改修やその前提となる点検・診断等のハード領域及び保全業務委託、保全計画等のソフト領域の調査研究を深める必要がある。さらにBIMMS(保全マネジメントシステム)、ライフサイクルコスト等の保全・施設管理の情報化の促進も喫緊の課題である。
 以上のような分野における調査研究と技術開発に速やかに取り組み、その成果を広く社会に普及する必要がある。このため「公共建築の長寿命化及び保全・施設管理の情報化の促進」をテーマとした第4次中期計画(令和3~5年度)を定め、目標達成に向けた取組を重点的、計画的に行うこととする。
1.調査研究、技術開発に関する重点的な取組
調査研究、技術開発に関しては次の3点に重点的に取り組む。詳細を別表1に示す。
  1. 公共建築の改修やその前提となる点検・診断等のハード領域に関する調査研究、技術開発
  2. 公共建築の保全業務委託、保全計画等のソフト領域に関する調査研究、技術開発
  3. 公共建築の保全・施設管理のハード・ソフト領域の両面を支える情報化及びデータ整備に関する調査研究、技術開発
2.業務運営に関する重点的な取組
調査研究、技術開発を支える業務運営に関して、新しいワークスタイルを踏まえつつ、顧客、業務プロセスの視点から次の2点に重点的に取り組み、改善を図る。詳細を別表2に示す。
  1. 顧客の視点の強化
  2. ICTの利活用
注1: 「令和3年度各省各庁営繕計画書に関する意見書」(令和2年8月、国土交通省)によれば、令和2年3月現在で全ての官庁施設の総延べ面積は約4,790万㎡、築後30年以上のものは全体の44.7%としている。また、公共施設状況調(平成30年度、総務省)によれば、地方公共団体の公有財産は、都道府県と市町村の合計で約6億6,522万㎡であり、国との合計で約7億1千万㎡となる。
注2: 「官庁営繕部政策レビューの概要」(第34回国土交通省政策評価会(平成26年9月30日)資料2-2-③)によれば、都道府県では同割合が46.2%、政令市では同割合が47.0%としている。また、本センターのBIMMSに令和2年3月31日時点で登録されている地方公共団体の建築物(登録量は4,317万㎡)を分析した結果では、経年30年以上の割合は床面積比で57%である。これらの結果から地方公共団体の公共建築は、その約半数が完成から30年を超えているものと推定した。
注3: 「公共施設等管理計画策定取組状況等に関する調査(結果の概要)」(総務省)によれば、都道府県と指定都市では全団体、市町村では99.9%の団体で策定済みである。
注4: 「公共建築のマネジメントの状況に関する調査(2020)」(本センター)によれば、調査434団体のうち、令和2年度末までに個別施設計画を策定済み又は策定予定は236団体(54.4%)である。
別表1-調査研究・技術開発に関する重点的な取組と目標とする研究等成果
重点的な取組 目標とする研究等成果
重点1:
公共建築の改修やその前提となる点検・診断等のハード領域に関する調査研究、技術開発
・建築改修工事標準仕様書、建築改修工事監理指針等の改修工事関係基準類に関する調査研究
・点検・劣化判定等に関する調査研究
重点2:
公共建築の保全業務委託、保全計画等のソフト領域に関する調査研究、技術開発
・保全業務共通仕様書等の保全関係基準類に関する調査研究
・中長期保全計画等の公共施設マネジメントに関する調査研究及び支援
・ベンチマーキング等の調査研究
重点3:
公共建築の保全・施設管理のハード・ソフト領域の両面を支える情報化及びデータ整備に関する調査研究、技術開発
・公共建築のマネジメントの状況に関する調査研究の継続的実施
・ライフサイクルコストに関する調査研究
・BIMMSの普及・活用及び次期BIMMS(令和6年度~)の開発に関する検討
別表2-業務運営に関する重点的な取組と改善目標
重点的な取組 改 善 目 標
重点4:
顧客の視点の強化
・ホームページ等による情報発信の的確化、迅速化
・研究成果の普及・出版
・相談窓口対応内容等の業務へのフィードバック
重点5:
ICTの利活用
・多様な研修・講習方法の実施、定着
・ICTを活用した業務実施手法の確立
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